遺言書を書きましょう
遺言書を書きましょう!
遺言書がない場合、法定相続人が自由に協議をして遺産を分割することができます。
よく配偶者と子が2分の1ずつなどといいますが(法定相続分)、これはあくまで目安であり全相続人の合意
により、これと異なる割合で分割をすることは何ら問題ありません。
でも世の中、親族間で揉めることはかなり多いです。兄弟で何年も訴訟をしているケースを見たことがあります。
それほどではなくても仲の良かった兄弟姉妹が遺産分割のあと、ぎくしゃくしてしまうことはよくあります。
たとえば親の面倒を見た長男は、自分の配分を何とか多くしたいと思い、一方弟は、ある程度理解しつつも、
この配分では納得いかないと思ってしまうのです。
円満な相続を望むのであれば、生前口頭でちゃんと説明しているから、ではなく、遺言書を作成して残しましょう。
本人が書いたものがあれば丸く収まるのです。
そして、遺言は早く書いた方がよいです。なぜなら遺言をするためには意思能力が必要であり、認知症になってから
では仮に書けたとしても、意思能力がない人の作成した遺言として無効と判断されることがあり得ます。
逆に早く書きすぎてしまうという心配はありません。遺言は一旦作成した後でも、何度でも内容を変更出来ます。
遺言書が複数あれば、記載された日付の新しいものが優先され、古い遺言のうちこれと抵触する内容は撤回された
ものとみなされるのです。
遺言書を残すべき場合
遺言がない場合は、相続人間で協議により遺産の分割方法を決めますが、相続人の中に認知症や高齢のために
意思能力が十分でない人がいると、協議が有効となりません。その相続人のために後見人を選任し、後見人と
協議をすればよいのですが、時間と費用が掛かります。
誰に何を残すという明確な遺言があれば、遺産分割協議がなくても、すんなりと遺産の分割ができるのです。
同じように、相続人の一人が音信不通で行方が不明だったり、相続人中に未成年の子供がいる場合、子どもたち
の兄弟仲がよくないケースも、複雑な遺産分割協議を回避し、円滑な遺産分割ができます。
ほかにも、子供がいないため亡くなった方の兄弟間で相続する場合や、内縁の相手に子がいるときも、遺言が
あった方がいい典型的なケースです。
事業を経営している方も、遺言書で、だれに何を相続させると決めておくと事業承継がスムーズに進みます。
なお法定相続分で相続させるケースでも、遺産分割協議を円滑に実施させるため、あえて遺言書を残すことも
有効です。
2020年7月から法務局で自筆証書遺言を保管してくれるサービスも始まりました。これを機会にあなたも
遺言書を書いてみませんか。 ☞ 自筆証書遺言保管制度
自筆証書遺言書と公正証書遺言の比較
代表的な遺言の方式には自筆証書遺言と公正証書遺言の2つの種類があります。簡単に比較してみましょう。
遺言の種類 |
自筆証書遺言 |
公正証書遺言 |
作成者 |
本人 |
公証人 |
方式 |
内容、日付、氏名をすべて手書する (ワープロは不可) |
公証人と証人2名の前で内容を口述し、公証人がこれを筆記する |
費用 |
なし |
公証手数料(遺産額に応じて高くなる) 証人の手配 |
メリット |
①作成費用がかからない ②ペンと紙があればすぐに作成できる ③内容を人に知られずに作成できる |
①無効となるリスクがほぼない ②改ざん・紛失リスクがない ③裁判所の検認が不要である ④自分で字が書けなくてもOK |
デメリット |
①方式に合わず無効となるリスクがある ②自宅保管の場合改ざん、紛失のリスクがある ③遺言執行前に裁判所の検認が必要 |
①コストと手間がかかる。 ②遺言の内容を少なくとも公証人、証人2名に知られてしまう |
利用すべき人 |
遺言の知識があって自分で遺言書が書ける人 |
コストをかけても確実に遺言作成したい人、自分で字を書くことに支障がある人 |
司法書士利用のメリット |
作成前の相談・作成後の診断を受けることで無効リスクを減らす |
公正証書遺言作成に係る事務処理を代行してもらう |
*自筆証書遺言の法務局保管制度を利用すれば自筆証書遺言のデメリット②、③はなくなります。詳しくは ☞ 自筆証書遺言保管制度
「家族信託」という手法もあります ☞ 家族信託のページ
まとめ
遺言書を残すことをぜひ検討してみてください。そして財産の多い方、相続人の親族関係が複雑な方や、認知症
対策も併せて考えたいという方は家族信託も検討してみてください。より確実な資産承継、相続問題の解決につな
がる可能性があります。
あなたの家族の構成や、その家族の一人ひとりが、どういう境遇でどういう考えを持っているかによって、適した
財産管理方法が変わってきます。柔軟かつ最適な相続対策、認知症対策、財産管理を検討してみませんか。
ご相談は、当事務所へ。